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2021.09.22
高血圧は、日本人の生活習慣病に影響する最も大きな要因の一つです。
厚生労働省が提供している生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」によると、
以下引用
高血圧自体は、過去数十年で大きく減少しましたが、今なお20歳以上の国民の二人に一人は高血圧です。
山岸良匡. 高血圧. e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html 厚生労働省. (2020年6月5日)
引用ここまで
とのこと。
高血圧はほとんど自覚症状がないため、そもそも自身が高血圧であると気がついていない方や、高血圧だと気がついていてもそのまま放置している方も多くいます。
高血圧が続くと動脈硬化が進行し、突然、心筋梗塞や心不全、脳卒中などを起こして、最悪の場合死に至ることも。高血圧を放置するのは、実はとっても危険なのです。
高血圧の対策には、まず、自分の血圧を知ることが大切です。そして、高血圧や高血圧予備軍と判明した場合には、生活習慣、特に食生活の改善が最も重要になります。
このページでは、高血圧の診断基準や原因のほか、食事や運動による高血圧の予防・改善方法などもご紹介していきますので、ぜひ、あなたの健康生活にお役立てください。
日常生活の中での一時的な血圧上昇は、誰にでも起こります。
問題なのは、安静にしているにもかかわらず、慢性的に血圧が高い状態が続くことです。
日本高血圧学会によると、最大血圧(収縮期血圧)140mmHg以上、最小血圧(拡張期血圧)90mmHg以上が高血圧となり、どちらか一方でも慢性的に超えていると、高血圧と診断されます。
そのほか、最大血圧130~139mmHg、最小血圧80~89mmHgのどちらか一方にでも該当する場合は「高値血圧」、最大血圧120~129mmHg、且つ、最小血圧80mmHg未満の場合は「正常高値血圧」に分類されます。
上記は病院の診察室で血圧を測った際の数値のため、自宅で血圧を測る場合には、それぞれ5mmHg低い値が高血圧の判断基準となります。
高血圧に該当する方はもちろんですが、高値血圧に該当する方も、高血圧予備軍として早めに対策をした方が良いでしょう。
また糖尿病などの他の生活習慣病を患っていたり、メタボリックシンドロームと診断されていたりする場合は、正常高値血圧でも注意が必要です。
高血圧は大きく2つに分けられます。
一つは、腎臓の働きや甲状腺ホルモンの異常、睡眠時無呼吸症候群、服薬などによって高血圧になる「二次性高血圧」。
もう一つは、こういった別の病気や服薬に起因しない、「本態性高血圧」です。
日本人の高血圧のほとんどは、「本態性高血圧」の方。
「本態性高血圧」の場合、遺伝や体質、加齢のほか、食塩の過剰摂取、過度な飲酒、肥満、運動不足といった生活習慣の問題や、ストレスなどの環境要因が組み合わさることで、血圧が高い状態になっていると言われています。
遺伝や体質、加齢のみが原因で高血圧になる人は少なく、やはり生活習慣が大きく関係しているそう。
中でも特に日本人の高血圧の原因になっていると指摘されているのは、食塩の過剰摂取です。
そのため、高血圧の予防や改善には、生活習慣、特に食生活の改善が必須なのです。生活習慣の改善で血圧を下げることができれば、血圧を下げる薬を服用する必要もありません。
先ほどもお伝えした通り、日本人の高血圧には、食塩の過剰摂取が大きく影響しています。一般的な日本人の食生活では食塩をたくさん摂取してしまいがちなため、高血圧の予防・改善をするには、いかに食事で減塩するかが一つ重要なポイントになります。
高血圧の方、高血圧予備軍の方は、日本高血圧学会が推奨する高血圧患者の減塩目標「1日6g未満」を目指して、なるべく食塩の摂取を減らすようにしましょう。
ここからは、減塩のコツのほか、併せて摂取したい栄養素を含む食べ物や飲み物などについてもご紹介していきます。
減塩するには、まず調理の際の味付けを薄味にすること。
とは言え、味気のない食べ物を食べ続けるのはなかなかつらいものがあります。そこで、塩分以外の味を上手に活用しましょう。
下記のような点を意識して調理をすると、塩分を控えてもおいしく食べられます。
・旬の食材や新鮮な食材を選ぶ
・食塩の少ないマヨネーズやケチャップ、ドレッシングなどで味付けする(ただし、使い過ぎに注意!)
・こしょうなどのスパイスや酢、レモン、ごまなどで味付けする
・昆布やシイタケなどの天然だしを使う
・味噌汁やスープなどは調味料を控える代わりに具沢山にする
など
また食べる際にもいくつか減塩のコツが。
しょうゆやソースを使う際は、かけるのではなく、小皿に出してつけること。これだけでも、食塩の摂取量は減らせます。
和食中心で、1日に何度も味噌汁や漬物を食べる方は、1回に食べる量を少なくしましょう。
そして、よく言われますが、ラーメンやそば、うどんなどの汁は、飲まずに残すこと。
減塩生活は、最初こそ辛いかもしれませんが、続けていくとだんだん慣れて、以前の味付けが濃く感じるようになります。
毎日は難しくても、自炊する日は減塩調理に取り組む、外食の時は、食べる際の減塩のコツを実践するなど、できることから取り入れていきましょう。
減塩と合わせて、積極的に摂取していきたいのが、カリウム・マグネシウム・カルシウムの3つのミネラルです。
カリウム・マグネシウム・カルシウムには、塩分の排出をサポートし、血圧を下げる効果があります。
カリウムが多く含まれているのは、ほうれん草などの野菜やバナナなどの果物、海藻類、ナッツ類、大豆製品など。
水に溶けやすい性質のため、生で食べるか、火を通す場合はスープなど、溶け出したカリウムも残さず摂取できるメニューがおすすめです。
またマグネシウムも、海藻類やナッツ類、大豆製品などに多く含まれていることから、この3つは特に意識して摂取したいところ。特に海藻や大豆製品はカロリーが低いため、たっぷり食べても問題ありません。
カルシウムは、牛乳や乳製品、小魚などから摂取すると吸収率が高いと言われています。マグネシウムがカルシウムの吸収を助けるため、ナッツ類などと一緒に摂取するとなお良いです。
いくつか食品の候補を挙げましたが、中には、選び方や摂取量に注意が必要なものもいくつかあります。
ナッツ類を食べる際は、素焼きの食塩不使用のものを選ぶこと。低糖質ですが、カロリーが高いものもあるため、1日の摂取量には注意しましょう。
血糖値が高めの方は、果物よりもナッツを。
乳製品にもいろいろありますが、チーズを食べるなら塩分の少ないフレッシュチーズを選びましょう。
また腎臓系の病気をお持ちの場合は、1日にどのくらいのカリウムを摂取して良いか、必ず事前に医師に相談してください。
DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)とは、アメリカで研究された、高血圧の改善が期待できる食事療法です。
塩分や脂肪、コレステロールを控えて、先ほどご紹介した3つのミネラルと食物繊維、タンパク質を多く摂取します。
中心となるのは、野菜や果物、ナッツ類、豆類、穀類、低脂肪の乳製品と魚類。魚の油には、血圧を下げる効果のある不飽和脂肪酸が含まれているほか、青魚には、血液サラサラ効果のあるEPAやDHAが豊富に含まれています。
こういった血圧を下げる効果のある栄養素を含んだ食品を複合的に摂取し、その相乗効果でより効果的に血圧を下げようというのがDASH食なのです。
肉類の摂取が制限されますし、しっかり自炊ができる方でないとなかなか難しいですが、高血圧の方はもちろん、肥満気味の方にも、ぜひ取り入れていただきたい食事療法です。
毎日飲むお茶などを、血圧が高めの方向けに販売されている特定保健用食品(トクホ)のお茶などに置き換えるのも一つの手です。
正常高値血圧など、血圧が気になるレベルの方や、どうしても料理をする時間がなくて、外食や加工食品に頼りがちな方におすすめ。少し食費がアップするかもしれませんが、簡単に現在の食生活に取り入れられ、習慣化することができます。
まだ何もしていないという方は、まずはここから高血圧対策を始めてみてはいかがでしょうか?
ここからは、これだけは避けて欲しい、高血圧の原因になる食事をご紹介していきます。
外食や加工食品には、塩分がたっぷり。高血圧のためには、なるべく控えましょう。
どうしても外食や加工食品に頼る際には、なるべく食塩の少ないものを選ぶ、汁などは残す、しょうゆやソースを追加しないといったことを心がけるようにしてください。
また食塩と合わせて油脂にも注意する必要があります。太ってきたなと思ったら、脂っこい食事は控え、カロリーオーバーしすぎないこと。標準体型を維持することも、高血圧対策の一つです。
多量の飲酒は高血圧につながるため、お酒の量は控えめに。1日に、ビールなら中瓶1本、清酒は1合程度にとどめておくようにしましょう。
おつまみには、素焼きのナッツやフレッシュチーズなど、塩分が少なくヘルシーな物を選ぶのが良いです。
高血圧の予防・改善のために、適度な運動をしましょう。
適度な運動とはどの程度かというと、軽く汗ばんだり、息が弾んだりする程度の全身を使う有酸素運動です。
早歩きや軽いジョギング、サイクリング、ゆっくりとした水泳、水中ウォーキング、ストレッチなどを、1日30分以上、できれば毎日、難しければ週に3~4日は行いましょう。1日1時間以上を週3日でもOKです。
逆に血圧が急上昇する、力む運動は避けてください。
運動の習慣が全くない方は、大きな動きで家事を行ったり、一駅分歩いたりといった、運動未満の小さなことから無理なく始めること。また高血圧やその他の生活習慣病の治療を受けている方は、医師やスポーツトレーナーと相談して、適切な運動メニューを組んでもらうようにしましょう。
食事や運動以外にも、高血圧の予防・改善につながる生活習慣がありますのでご紹介していきます。
高血圧の予防・改善を行うには、まず、自分の血圧を知る必要があります。
高血圧の方はもちろんですが、正常高値血圧の方や、家族に高血圧の人がいる方、食塩の摂取量が多いなど生活習慣に問題がある方、ストレスが多い方などは、ぜひ、今すぐ習慣化してください。
血圧計はお持ちのもので良いですが、これから購入される方は、手首ではなく、上腕に巻くタイプがおすすめです。
血圧は、毎日決まった時間に、決まった環境で測りましょう。
1日2~3回、朝は起床から1時間以内で朝食を取る前までに、夜は寝る前に測ります。必ず1,2分程度座って安静にした後に測ること。
1回測って高血圧の数値が出ても、必ずしも高血圧というわけではありません。毎日測って記録をとり、平均値が高血圧の基準を上回っているようであれば、早めに病院を受診しましょう。
喫煙と高血圧の因果関係はまだ明らかになっていないようですが、タバコが血圧を上昇させ、また動脈硬化を促進するため、他の生活習慣病の原因になることはわかっています。
そのため、正常高値血圧以上の方は、禁煙するのが望ましいです。
自律神経が乱れて交感神経優位な状態が続くと、高血圧につながります。
寝る前には、40℃前後のぬるめのお湯に浸かってリラックスしましょう。熱いお湯は血圧を上げるのでNGです。
また睡眠不足やストレスも血圧を上げるため、しっかり睡眠を取るのはもちろん、上手にストレスコントロールをしましょう。
血圧が高い人には、呼吸が浅いという傾向もあるそうです。
そのため、気がついたタイミングで深呼吸や腹式呼吸をすることを習慣づけるのもおすすめです。ゆっくり息を吐き切ると、副交感神経が優位になって、血圧が下がります。
温度が10度以上低い場所へ突然移動すると、急激に血圧が上がります。
特に冬場の起床時や入浴時は、注意が必要です。寝室は、エアコンのオンタイマーを使って、起床時刻の少し前から暖める、脱衣所は、暖房器具を置いて入浴前から暖めておく、浴室は、床が暖かくなるまで洗い場にシャワーを流しておくといった対策を行うと、急激に血圧が上昇するリスクを少なくすることができます。
繰り返しになりますが、高血圧対策には、生活習慣の改善が重要です。特に食生活が最も影響を与えるため、高血圧の方や高血圧予備軍の方は、食生活から見直しましょう。
減塩や節酒もなかなか大変ですが、それ以上に、毎日ミネラルたっぷりのバランスの良い食事を用意するのは難しいもの。
「高血圧の予防・改善につながる食事の仕方」の一つとしてトクホのご紹介をしましたが、トクホに限らず、高血圧対策に必須のミネラルなどを効率よく摂取するために、健康食品を活用するのもありです。
苦手な食べ物がどうしても食べられなかったり、料理をする時間がなくて外食や加工食品に頼りがちであったりして、食事だけでは不足してしまう栄養素がある場合には、食生活の中に上手に健康食品を取り入れてみてください。