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2021.10.29
生理不順や生理痛など女性特有の症状に悩んでいませんか? それはもしかしたら女性ホルモンの乱れが原因かもしれません。
女性ホルモンは食生活やストレスなど、少しの生活の変化でも乱れてしまうほど繊細なバランスで保たれています。妊娠と出産に不可欠な女性ホルモンの乱れを放置すると、不妊につながる可能性も。慢性的に生理不順などの不調に悩まされているなら、女性ホルモンを整えることを意識してみましょう。
この記事では女性ホルモンの役割や女性ホルモンの乱れによって起こる事、日常生活からホルモンバランスを整える方法などについてご紹介します。女性ホルモンの乱れによる不調に思い当たることがあれば、この記事を参考に、できることからはじめてみましょう。
ホルモンは体の中でつくられ、骨や筋肉を成長させたり、食物を消化させたりと体の働きに欠かせないものです。中でも女性ホルモンは、女性の体と心に影響を与えるホルモンのことで、妊娠と出産のための体をつくる役割があります。
女性ホルモンは卵巣から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類です。この2つのホルモンの分泌量が約1カ月の間(生理周期)に変化し、基礎体温が上下したり、排卵や月経が起こります。
エストロゲンは女性らしさをつくり、妊娠の準備を進めるホルモンです。月経、卵胞期、排卵期にプロゲステロンより多く分泌されます。エストロゲンの主な働きは以下の6つです。
妊娠の成立や継続に不可欠で、女性の体を守ってくれるのがプロゲステロンというホルモンです。月経前の黄体期にはプロゲステロンが多く分泌され、身体のむくみや食欲の増幅などの身体的な変化が現れます。プロゲステロンの働きやそれによる影響は主に以下の7つです。
女性の体は、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが生理周期に合わせて変化することでリズムを保っています。このバランスが乱れると、さまざまな不調が現れます。
ここでは女性ホルモンの乱れが原因で現れる不調について解説します。
生理が始まる3~10日ほど前から症状が現れ始める体や心の不調のことです。排卵後にホルモンバランスが乱れることで症状が現れます。身体的な症状としては腰痛や肩こり、頭痛、便秘など。精神的な症状ではイライラしたり、落ち込みやすくなったり、集中力ややる気が低下するなどが該当します。
「生理痛」とは、生理中に子宮壁から剥がれた子宮内膜と血液を押し出すために子宮が収縮することで生じる痛みのことです。正常な状態であれば、生理痛は感じないか、感じたとしても軽い症状で済みます。生理のたびに生活に支障が出るほどの痛みを伴う場合や、鎮痛剤が必要な場合は「月経困難症」と呼ばれ、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れている可能性もあるため、婦人科の受診をおすすめします。
生理周期には個人差がありますが、正常な周期は25~38日とされています。生理が始まった日から次の生理が始まるまでの期間がこの範囲内であれば正常です。一方、周期が短かったり長かったりして安定しない場合は「生理不順」の状態であり、期間により「過少月経」「頻発月経」「過多月経」「無月経」の4種類に分かれます。それぞれの特徴は以下の通りです。
生理不順の場合は、排卵が正常に行われていないなどのトラブルが起こっている可能性があります。特に過多月経は子宮内膜症や子宮筋腫が疑われる症状のため、婦人科を受診すると安心でしょう。
「不正出血」は、生理とは関係ないタイミングで性器から出血することです。ホルモンバランスが乱れることで起こる不正出血は、子宮内膜が刺激されて、剥がれてしまうことで起こります。ホルモンバランスの乱れではなく別の病気が原因の可能性もあるため、注意が必要です。
ホルモンバランスの乱れは自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが乱れる原因になります。自律神経が乱れた状態を「自律神経失調症」といい、疲れやすい、だるい、頭痛やほてりなどの体の不調が現れます。
女性ホルモンの乱れは「不妊」につながる可能性も。症状としては「高プロラクチン血症」「黄体機能不全」「排卵障害」の3つが挙げられます。
まず高プロラクチン血症は、プロラクチンというホルモンが異常に分泌されることで出産をしていないのに母乳の分泌が促され、排卵が抑制される症状です。次に黄体機能不全はホルモンバランスの乱れによって女性ホルモンであるプロゲステロンの分泌量が減り、それによって排卵後に子宮内膜を妊娠に適した状態で維持できなくなる症状を指します。最後の排卵障害は、排卵が行われなかったり、排卵できる卵子の準備ができない状態のことです。
女性ホルモンの分泌量は加齢と共に減少します。特に閉経前後の更年期は女性ホルモンが急激に減少するため、体の不調を感じやすい時期です。その時期に感じるほてりや発汗、めまい、気分の落ち込み、イライラは「更年期症状」といい、それらの症状が日常生活に支障があるほど重い状態を「更年期障害」といいます。更年期障害の主な原因は女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が減少することです。しかし加齢や成育歴、人間関係などが複合的に関わることで発症するともいわれています。
ホルモンバランスが乱れていないかを確認するには基礎体温を測るのがおすすめです。女性の体温は低温期と高温期の2層に分かれます。正常なリズムで女性ホルモンの分泌が行われている場合、生理周期が28日の方は、生理の開始から排卵日までの14日ほどが低温期、それ以外が高温期です。基礎体温が周期内で2層になっていなかったり、体温の変化が乱れていたりするとホルモンバランスが乱れている可能性があります。基礎体温は病気の診断にも役立つことがあるため、体の不調を感じたら婦人科に基礎体温表を持参すると良いでしょう。
基礎体温は安静時に測ることが大切です。正確な基礎体温を知るためには毎朝、起きたときに布団の中で測ると良いでしょう。寝る前に体温計や基礎体温表、筆記用具などを枕元に用意しておくと、朝起きたときにスムーズに体温を測ったり記録したりできます。その日の体調や睡眠時間に変化がある場合には、基礎体温表にその旨も記載しておきましょう。
女性ホルモンのバランスは繊細で、食生活の乱れやストレスなど、少しの生活の変化も乱れる原因になります。
ここでは「バランスの良い食生活」「睡眠」「適度な運動」「ストレス解消」の4つの女性ホルモンを整える方法について解説。すぐに実践できることもあるので、できることから始めてみてください。
女性ホルモンを整えるためには、肉・魚・大豆などのタンパク質や野菜、炭水化物に加え、良質な脂質を摂取することを意識したバランスの良い食生活が重要です。カロリーの高いものを取りすぎず、多くの食材を食べることを意識しましょう。
しかし多くの食材を取り入れた食事は用意するのも食べるのも大変です。栄養を取るのは食事からが基本ですが、健康食品を取り入れれば足りない栄養素を補うことができます。バランスの良い食事を取るのが難しい場合は、健康食品の活用も検討してみてください。
食事の内容も重要ですが、適量を規則正しく食べることも大切です。過度な間食や飲酒もホルモンバランスを乱す原因になるため注意しましょう。
基本的には夜0時までには寝る体勢になって、睡眠時間を7時間以上確保することがおすすめです。しかし必要な睡眠時間は人それぞれなため、翌朝の目覚めがスッキリする睡眠時間を目安にすると良いでしょう。目覚めが良くなく、疲れが残っているのであれば睡眠時間が足りていない可能性があります。
適度な運動もホルモンバランスを整えるのに効果的です。体を動かすことで全身の血流が良くなり、冷えや疲労感の改善が期待できます。生活の中に運動を取り入れるのが難しいと感じている方は、まずは10分を目標に体を動かしてみましょう。運動が苦手であれば、ストレッチやヨガなどゆっくり体を動かす程度でも問題ありません。
過度なストレスも女性ホルモンのバランスを乱す原因です。日常生活の中で、仕事や人間関係に悩むこともあるでしょう。ストレスが過度に溜まると、寝つきが悪くなったり、イライラしやすくなったりとさまざまな不調が現れます。ホルモンバランスの乱れもその中の1つです。自覚がないうちにストレスを溜めてしまっている場合もあるため、日頃から自分の状態を見つめ直す習慣をつけたり、1日に10分でも気分転換の時間を設けたりしてリフレッシュすると良いでしょう。
女性ホルモンのバランスを乱してしまうとさまざまな不調が現れます。「疲れがとれない」「気分が落ち込む」といった不調は、実はホルモンバランスの乱れが原因かもしれません。女性ホルモンは食生活やストレスなど、些細な生活の変化でもバランスが乱れてしまうので、不調を感じたらまずは生活習慣を見直してみてください。
ホルモンバランスが乱れているかどうかは基礎体温を測ることでも確認ができます。毎日基礎体温を測って記録しておくことで婦人科を受診するときにも役立つため、習慣にするのがおすすめです。
今回ご紹介した不調の中に当てはまるものがあり、症状が重い、生活習慣を見直しても改善しないといった場合は、早めに婦人科を受診しましょう。